打撃職人の話
私が子供の頃、打撃の職人と呼ばれる天才バッターがいました。私は結構好きだったんですよね〜。その方今はコーチで後進の指導をされている。
今日はその方のお話。
ある時、その方が若手選手の打撃練習を見ていた。その若手選手は、ピッチャーの投げるボールをガンガンと打ち返していた。ナイスバッティング。
それを見たコーチは「そんな練習をしているから上手く打てないんだ」と一言。
そして自らが見本を見せた。しかし、そのコーチは一球も良い当たりを打たない。というよりも、ボールの上や下ばかりを打っている。その若手選手は「全然打てない」と思ったらしい。
そこでそのコーチが言ったことは
「ボールにも、バットにもこれだけの幅がある。だから当てることは簡単。練習はボールの上と下にバットを当てる。それができるようになれば、簡単にバットをボールに当てることができる」
いや〜まさに職人技!!
良いボールがくれば・・
この話、ビジネスにも通用する。そしてまさに今の日本、世界のビジネスが考えなければならないこと。
どういうことか?
ビジネスだって野球のバッターと同じ。ピッチャーから投げられたボールが良いボールであれば打つのは簡単。(野球がわからない人には少しわかりにくいですかね??)
ビジネスだって、環境が良ければ(これが野球であればピッチャーが投げたボール)ビジネスを上手く行かせることは簡単。(バッターが、バットにボールを当てること)
だって、お店を開けば人が来るし、何か売れば買う人がいるわけですから。まさにバブルの時ですよ。
良いボールが来ないと・・
でも、環境が悪くなると(ピッチャーが打ちにくいボールを投げると)ビジネスを上手く行かせることが難しくなる。(バッターはバットにボールを当てることができなくなる)
だからこそ、普段から環境が悪くなったことを、想定して色々と準備をしておくことが必要になる。
でも、もしその準備をしていなくて、環境が悪くなってしまったら・・・
その時には、バットをボールの芯に当てるのではなく、とにかくボールの上でも下でもいいから当てるためにどうするかを考える。かすっても(野球ではボールの上や下のギリギリに当たることを「かする」と言います)いいから、バットにボールを当てることを考える。
そして、それを一つではなく、二つ、三つとできるだけ早く、できる限り多く実行する。
今の状況でできることはそれだけです。今までどんなやり方をしていようとも、そのやり方は「今」は通用しません。
だから今は、とにかくボールのどこでもいいから、バットを当てることだけを考えましょう。